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売掛金の回収方法は?具体的な手順から未入金を防ぐ対策まで解説
「売掛金の回収が遅れている」「毎月の督促業務にかかる負担が大きい」と悩んでいる経理担当者や経営者は多いのではないでしょうか。特に中小企業や個人事業主の場合は少人数で対応しなければならないため、督促にかかる時間や精神的なストレスが大きな負荷となります。
本記事では、売掛金の回収方法から未入金を防ぐ対策、さらには督促業務を効率化する方法まで分かりやすく解説します。
売掛金の回収にお困りの方や、督促業務の改善を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
売掛金回収とは
売掛金回収とは、商品やサービスを提供した後、取引先から未払いの代金を期日通りに回収する業務を指します。
売掛金回収の主な流れは以下の通りです。
- 請求書の発行
- 入金確認
- 入金消込
期日までに入金が確認できない場合は、取引先に対して督促を実施します。
消し込みの流れや仕訳方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
売掛金の回収方法|基本の5ステップ
期日になっても売掛金が入金されない場合、以下の手順に沿った迅速な対応が重要です。
- 契約内容・請求書類の確認(支払期日〜数日後)
- 催促状の送付(数日〜1週間)
- 内容証明郵便による督促(2週間〜1ヶ月)
- 支払督促・民事調停などの公的手続き(1〜2ヶ月)
- 訴訟・強制執行(3ヶ月目以降)
まずは、現状がどの段階にあるかを確認し、順を追って対応を進めるとスムーズです。
ステップ1:契約内容・請求書類の確認(支払期日〜数日後)
支払期日から数日の遅れであれば、請求漏れ・入金ミス・確認の行き違いなどの可能性があります。
まずは以下の確認が必要です。
- 請求書の送付漏れがないか
- 納品・検収が完了しているか
- 請求金額や振込先案内に誤りがないか
- 入金確認にタイムラグがないか
いきなり督促を実施してしまうと、自社側にミスがあった場合に取引先との信頼関係を損ねる可能性があるため注意が必要です。
ステップ2:催促状の送付(数日〜1週間)
支払遅延の連絡後も入金が確認できない場合、催促状を送付します。
催促状とは、支払期限が過ぎていることを知らせ、支払いを促すための文書です。法的効力はありませんが、未払いの再確認と支払いを促すために使用します。
催促状に記載する内容は以下の通りです。
- 発行日
- 宛先
- 差出人情報(自社名、住所、担当部署、連絡先など)
- 対象取引の内容
- 請求書番号
- 当初の支払期日
- 請求金額
- 新たな支払期限
- 振込先口座情報
催促状の結びに、行き違いの際のお詫びを一言添えることで、取引先との良好な関係性を保つことができます。
催促状の具体的な書き方については、以下の記事で解説しています。
関連記事:【例文あり】入金催促メールの送り方は?押さえておくべきポイントも解説
ステップ3:内容証明郵便による督促(2週間〜1ヶ月)
内容証明郵便とは、「いつ・誰が・どのような内容の文書を・誰に送ったか」を郵便局が証明する制度です。法的効力はありませんが、裁判や交渉になった際の証拠になります。
内容証明郵便で督促を行うことで、自社が法的措置を視野に入れている強い意思を示せます。
督促状に記載すべき内容は以下の通りです。
- 未払い売掛金の正確な金額・対象取引
- 最終的な支払期限
- 期限までに支払われない場合、法的措置に移行する旨の明記
内容証明郵便には、用紙のサイズや文字数にルールがあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事:内容証明の郵便料金は?文書の作成方法から出し方まで徹底解説!
ステップ4:支払督促・民事調停などの公的手続き(1〜2ヶ月)
内容証明による督促に応じない場合、支払督促や民事調停などの公的手続きに進みます。
主な公的手続きは以下の通りです。
| 支払督促 | 民事調停 | 少額訴訟 | |
|---|---|---|---|
| 内容 | 裁判所を通じて支払いを命じる手続き | 調停委員会が間に入り話し合いで解決する手続き | 60万円以下の請求限定で原則1回で完結する手続き |
| メリット | ・書類審査のみで手続きできる ・出頭が原則不要 |
・非公開で進められる ・柔軟な条件で合意可能 |
・即日で判決が出る ・すぐに強制執行が可能 |
| 選択基準 | ・請求内容に争いがない ・低コストで差し押さえたい |
・取引関係を維持したい ・相手に支払意思があり、交渉したい |
・60万円以下で証拠が明確 ・長期化を避けたい |
取引先の支払意思や請求金額を踏まえて選択することが重要です。
ステップ5:訴訟・強制執行(3ヶ月目以降)
訴訟・強制執行は、これまでの督促・公的手続きに応じてもらえなかった場合の最終手段です。裁判所に訴訟を提起し、勝訴後に取引先の財産を差し押さえて回収を図ります。
契約書や請求書などの証拠があれば、裁判所から支払いを命じる判決が下されます。判決確定後も支払われない場合は、裁判所へ強制執行を申し立てることで、取引先の財産を差し押さえることが可能です。
主な差し押さえ対象は以下の通りです。
- 銀行口座の預貯金
- 第三者に対する売掛金
- 不動産や社用車などの資産
- 役員報酬や給与
ただし、弁護士費用や財産調査などのコストが発生するため、回収見込み額と費用のバランスを考慮する必要があります。
【状況別】売掛金を回収するための有効な手段
売掛金の適切な回収方法は、取引先の状況や請求金額によって異なります。
| 状況 | 有効な手段 |
|---|---|
| 連絡あり・支払意思あり | 電話・メールでのリマインド |
| 連絡なし・支払遅延 | 催促状の送付 |
| 催促状を無視・意図的な未払い | 内容証明郵便による督促 |
| 請求内容に争いなし・未払い | 支払督促 |
| 一括支払いは困難・分割意向あり | 民事調停 |
| 未払い額60万円以下・証拠あり | 少額訴訟 |
| 自社での回収が困難 | 訴訟・強制執行 |
状況に応じて適切な手段を選択・実行することで、未回収リスクを最小限に抑え、確実な回収へとつながります。
売掛金を回収する際の注意点
未回収リスクを防ぎ業務をスムーズに進めるために、あらかじめ押さえておくべき注意点を解説します。
取引先が個人事業主の場合は回収不能リスクが高い
個人事業主の「屋号」は法的効力を持たないため、訴訟や強制執行をする際に手続きが滞る可能性があります。
個人事業主からの回収不能を防ぐには、最初の請求書発行時から「本名(個人名)宛て」で請求・督促を行うことが重要です。
また、個人事業主は事業と個人の資金の境目が曖昧なため、裁判中に資金を使い込まれたり、資金を別の口座へ移されたりするリスクがあります。
資産隠しや回収不能を防ぐには、訴訟手続きを経ずに強制執行が可能な「強制執行認諾条項付き公正証書」の作成が有効です。
売掛金の回収時効は原則5年
2020年4月の民法改正により、売掛金の消滅時効は原則として支払期日から5年間となりました。支払期日から5年が経過すると、法的に売掛金を回収する権利が消滅してしまいます。
ただし、内容証明郵便で請求書(催告)を送付することで、時効の完成を6ヶ月間猶予することが可能です。
また、取引先と「支払う旨の同意書」を取り交わす、または売掛金の一部を振り込んでもらうことで、時効を更新できます。
強引な督促は法的なトラブルにつながる可能性がある
売掛金の回収であっても、過剰な督促を行うと脅迫罪や名誉毀損罪などの法律に抵触するリスクがあります。
法的トラブルを防ぐための基準として、貸金業法で禁止されている行為は以下の通りです。
- 深夜・早朝(21時〜翌8時)の連絡や訪問
- 拒否された後の過剰な連絡
- 暴言や威嚇行為(大声を出す・机を叩くなど)
- 相手の会社や自宅への長時間の居座り
- 張り紙などによる周囲への未払いの周知
- SNSやネット上への未払いの書き込み
未払いへの対応であっても、法律に則って冷静に対処することが重要です。
売掛金が回収できない場合の対策
売掛金が回収できない場合は、損失の処理や公的融資の活用によって影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは、具体的な対策について解説します。
売掛金を放棄し、貸倒損失として処理する
帳簿に未回収の売掛金が残っていると、未入金の売上にも法人税や所得税が課せられます。
債権を放棄して貸倒損失(経費)として処理すれば節税になりますが、放棄後に売掛金を回収することはできません。以下の基準をもとに慎重に判断する必要があります。
- 督促・交渉を継続すべきケース:支払意思や支払いの見込みがある場合
- 債権放棄を検討すべきケース:倒産などが決定しており、回収の可能性がない場合
貸倒損失の計上には要件が細かく定められているため、事前に税理士へ相談しながら進めるのが確実です。
公的融資を活用して時間的猶予を確保する
売掛金の未回収が続くと、自社の資金繰りが悪化し、黒字倒産のリスクが高まります。
安定した資金調達を維持するには、公的融資を活用して手元資金を補填し、猶予期間を確保するのが有効です。
主な公的融資制度には、以下のような選択肢があります。
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会のセーフティネット保証
これらは民間銀行の通常融資と比べて審査が柔軟であり、低金利かつ返済猶予(据置期間)を設定しやすい点が特徴です。ただし、あくまで融資なので返済義務がある点に留意する必要があります。
売掛金の未回収を防ぐための事前対策
売上金の未回収リスクを抑えるには、発生後の対応だけでなく、未払いトラブルを防ぐための事前対策が不可欠です。
取引開始前に与信管理(審査)を徹底する
与信管理(審査)とは、取引先の支払能力や信用度を見極め、安全な取引を行うために欠かせない工程です。
与信管理において、主に確認すべき情報は以下の通りです。
- 商業登記簿(設立年、役員、資本金などの基本情報)
- 取引先のホームページ(事業実態、主要取引先、最新ニュース)
- 信用調査会社の調査レポート(財務状況、第三者からの評価)
- 商業登記簿(設立年、役員、資本金などの基本情報)
- 取引先のホームページ(事業実態、主要取引先、最新ニュース)
- 信用調査会社の調査レポート(財務状況、第三者からの評価)
1社ずつ調査・評価するのが難しい場合は、与信管理が組み込まれたソフトウェアサービスの活用が適しています。
契約書に未払い時のペナルティを明記する
支払遅れを未然に防ぐには、契約書へ遅延時のペナルティをあらかじめ記載することが重要です。
主なペナルティは以下の通りです。
- 遅延損害金:請求額に一定の割合(年3%〜14.6%)を上乗せ
- 期限の利益喪失:分割払いやを失わせ、残額を一括請求すること
契約段階でペナルティを明記することで、取引先との信頼関係を損ねることなく、未払いリスクを抑えられます。
請求・入金確認の迅速化を図る
社内の請求・管理フローが曖昧だと、請求漏れや確認ミスが生じ、結果として売掛金の回収が遅れる可能性があります。
迅速に売掛金を回収するには、以下の運用を徹底することが不可欠です。
- 請求書の発行遅延防止
- 当日の入金消込
- 未入金に対する迅速なリマインド
しかし、これらをすべて手動で行うには限界があります。業務の属人化やヒューマンエラーを防ぐには、業務改善システムの導入が有効です。
まとめ
売掛金を確実に回収するには、自社や取引先の状況に適した方法を選ぶことが重要です。
また、売掛金の未回収を防ぐには、与信管理やシステムの導入といった予防策によって業務の属人化やミスを抑え、迅速な請求体制を整えることが効果的です。
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【Q&A】
- 回収手続きにかかる弁護士費用は、取引先に請求できる?
原則として請求できません。
弁護士費用が回収できる金額を上回ってしまわないか、事前に見極めることが重要です。
- 売掛金の一部だけが振り込まれ、残りが未払い。この場合はどのように対応すべきか?
まずは差額の理由を確認し、速やかに残額を督促します。
振込手数料の差し引きや、請求書内容の誤りなどの可能性があるため、取引先へ確認しましょう。


