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消し込みとは?作業の流れや仕訳方法、よくある課題までを徹底解説!

経理業務で日常的に使われる「消し込み」の具体的な内容や重要性について、十分に理解している方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、消し込みの基礎知識から実際の業務フロー、さらに効率化につながる具体的な方法までを詳しく解説します。
消し込みとは?

消し込みとは、企業の会計における重要なプロセスの一つです。
具体的には、売上債権(未収金)や買入債務(未払金)といった債権・債務の記録と、それに対応する入金や支払いの事実を照合し、帳簿上の取引を完結させる一連の作業を指します。
なぜ消し込みが必要なのか
消し込みは、企業が正確な財務状況を把握するために必要な作業です。
売掛金や買掛金が適切に消し込まれていないと、債権や債務の状況が不明確になってしまいます。このような状況が続くと、資金繰りの悪化や経営判断の誤りといったリスクを招く可能性があります。
健全な経営を維持するためにも、定期的な消し込みで常に正確な残高を把握することが重要です。
消し込みの対象となる取引
消し込みが必要となるのは、代金のやり取りと売上・仕入れの発生に時間差がある取引が対象となるためです。現金取引のようにその場で支払いが完了する場合は不要ですが、後日入金や支払いが行われる信用取引では、消し込み作業を行います。
主な対象となる取引は次の通りです。
売掛金(未収金) | 商品やサービスを販売・提供した際に発生。後日、顧客から代金が入金された際に、売掛金が消し込みの対象となる。 |
買掛金(未払金) | 商品やサービスを仕入れたり、経費が発生したりした際に発生。後日、仕入先やサービス提供者へ代金を支払った際に、買掛金が消し込みの対象となる。 |
複数の請求をまとめて入金・支払いするケースでは、個々の取引と金額を正確に紐づけるように注意しましょう。
入金消込と支払消込
消し込みは、大きく分けて「入金消込」と「支払消込」の2種類があります。
- 入金消込:売掛金や未収金などの「債権」に対して行われる消し込み作業
- 支払消込:買掛金や未払金などの「債務」に対して行われる消し込み作業
これら二つの消し込みを正確に行うことで、企業の財務状況が常に正確に保たれます。
消し込み業務の流れ

消し込み業務は、企業の日々の取引を正確に反映させ、財務状況を健全に保つための重要なプロセスです。
ここでは、一般的な消し込み業務がどのようなステップで進められるのか、その具体的な流れを解説します。
伝票データの確認
消し込み業務の最初のステップは、伝票データの確認です。この作業では、会計システムや販売管理システムに登録された、売上や仕入れに関する情報を確認し、消し込みに必要なデータを準備します。
具体的には、次のようなデータを確認してください。
請求書データ | 顧客へ発行した請求書の内容。請求金額・請求日・支払期日・顧客名・請求内容などが記載されている |
仕訳伝票データ | 売上や仕入れを会計帳簿に記録する際に作成される伝票。売掛金や買掛金が計上された取引の詳細が確認できる |
買掛金データ | 仕入先から受け取った請求書や、仕入れや経費計上の際に発生した買掛金のデータ |
これらの伝票データを確認する目的は、消し込みの対象となる売掛金や買掛金の正確な情報を把握することです。
金額や日付、取引先といった基本情報に誤りがないかを確認し、あとで行う銀行明細との照合に備えましょう。
銀行明細との照合
取得した銀行明細のデータと、社内の伝票データを一つひとつ照合します。
この作業では、次の点が一致しているか確認してください。
- 金額
- 日付
- 名義
取引先名義が略称や個人名になっている場合、確認に手間がかかることがあるので注意が必要です。
未消込の確認と原因特定
銀行明細との照合の段階で、一致しなかったものは「未消込」として残ります。未消込が発生した場合は、その確認と原因特定を行いましょう。
未消込の確認 | 銀行明細と伝票データを比べ、どこに誤りがあるか確認する |
原因の特定 |
|
これらの原因を突き止め、必要な修正仕訳や取引先への連絡を行うことで、未消込状態を解消し、正確な財務状況を維持できます。
消し込み処理の実施
確認・照合作業を経て、売掛金や買掛金が実際の入金・支払いによって解消されたことを帳簿に反映させるプロセスです。
この処理は、主に手動または会計システム・ERPシステムを使って行います。
消し込み処理の方法は次の通りです。
- 手動での処理:Excelなどで管理している場合、一致した項目を「消し込み済み」として記録する
- システムでの処理:銀行明細データをシステムに取り込み、自動照合・消し込みを行うか、手動で紐付けや修正仕訳を入力して完了させる
金額や名義などの最終確認や証拠の保管、適切な仕訳処理を徹底し、未消込が残っていないかを再度確認しましょう。
売上消込の仕訳方法

売上消込は、売上が発生した際の売掛金と、実際に入金された金額を会計帳簿に正しく記録するプロセスです。
ここでは、具体的な仕訳例を交えながら、基本的な売上消込の仕訳方法を解説します。
売掛金の計上
「売掛金の計上」とは、商品やサービスを販売・提供したものの、その代金をまだ受け取っていない場合に、将来的にその代金を受け取る権利(債権)を会計帳簿に記録することを指します。
例:A社に商品100,000円(消費税10,000円含む)を販売し、代金は翌月末に受け取る約束をした場合
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
売掛金 |
110,000円 |
売上 | 100,000円 |
仮受消費税 | 10,000円 |
売掛金を計上することで、会社は「いつ、誰に、いくらの請求権があるのか」を明確に管理できます。
売掛金の消し込み
計上した売掛金に対して実際に入金があった際に、その売掛金を会計帳簿から消去します。
例:A社への売掛金110,000円(消費税込み)の代金が、期日通りに普通預金口座に入金された場合
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
普通預金 | 110,000円 | 売掛金 | 110,000円 |
売掛金が入金された際は、必ず対応する金額を消し込みましょう。定期的に消し込み作業を行うことで、帳簿と実際の現預金残高の整合性が保たれ、正確な債権管理につながります。
支払消込の仕訳方法

支払消込は、仕入れなどで発生した買掛金と、実際に行った支払いを会計帳簿に正確に反映させる重要な作業です。
ここでは、具体的な仕訳例を交えながら、基本的な支払消込の仕訳方法を解説します。
買掛金の計上
商品やサービスを仕入れたものの、その代金をまだ支払っていない場合に、将来的にその代金を支払う義務(債務)を会計帳簿に記録します。
例:B社から商品50,000円(消費税5000円含む)を仕入れ、代金は翌月末に支払う約束をした場合
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
仕入 | 50,000円 | 買掛金 |
55,000円 |
仮払消費税 | 5,000円 |
買掛金を計上することで、会社は「いつ、誰に、いくらの支払い義務があるのか」を明確に管理できます。
買掛金の消し込み
計上した買掛金に対して実際に支払いを行った際に、その買掛金を会計帳簿から消去する作業です。
例:B社への買掛金55,000円(消費税込み)の代金を、期日通りに普通預金口座から支払った場合
借方勘定科目 | 金額 | 貸方勘定科目 | 金額 |
買掛金 | 55,000円 | 普通預金 | 55,000円 |
買掛金の支払いを正確に消し込むことで、二重払いや支払い漏れなどのリスクを防げます。帳簿上の残高と実際の現預金残高を常に一致させておくことで、正確な債務状況を把握できます。
消し込み作業の課題

消し込み作業は、企業の会計処理において不可欠ですが、多くの企業で非効率性や複雑さに悩まされています。ここでは、この重要な業務に潜む具体的な課題をみていきましょう。
手作業による非効率性
多くの企業では、消し込み作業を手作業で行うことが多いため、膨大な時間とコストが発生しています。
大量の取引データを手作業で照合することで人件費がかさみ、手入力や目視確認によるヒューマンエラーも発生しやすくなるでしょう。
特に取引件数が多い企業ほど、修正に多くの手間と時間がかかり、正確な財務状況の把握を妨げる深刻な問題につながる可能性があります。
こうした課題を解決するには、消し込みを自動化するシステムの導入が効果的です。
請求額と入金額の不一致
消し込み作業では、請求額と実際に入金された額が一致しないケースは少なくありません。これは、入金の際にさまざまな理由でズレが生じるためです。
主な原因は次の通りです。
- 一部入金や過剰入金
- 振込手数料の差し引き
- 相殺取引
金額のズレが発生すると、原因を特定するための確認作業が大幅に増えます。その結果、消し込み業務が非効率になるだけでなく、売掛金の正確な状況を把握しにくくなります。
ノウハウの属人化
消し込み作業で複雑な取引やイレギュラーな入金が多い場合、一般的なマニュアルでは対応が難しいため、担当者の経験や個々の知識に頼らざるを得ません。
このような属人化が進むと、担当者の不在や退職時に業務が滞るリスクが発生しやすくなります。また、業務内容がブラックボックス化することで、不正やミスを見逃してしまう可能性も高まるでしょう。
組織全体で正確な財務状況を把握するためには、この属人化を解消し、誰でも対応できる仕組みを構築することが重要です。
消し込み作業の効率化を図るには「ペイド督促代行」がおすすめ

中小企業向けの業務改善システム「APソフトウェア」がおすすめです。ペイドには信用調査・売掛金回収・日々の納品書・請求書作成機能がワンパッケージになっており、低コストで業務改善を図れます。
費用明細は次の通りです。
月額料金(1事業所あたり) | 6,000円 |
子アカウント料金 (複数ユーザーで利用時) |
1日300円(日割) |
成功報酬(入金時のみ) | 1,000円 |
検索サービス | 要相談 |
信用調査・督促・ペーパーレス対応の通常の請求書(インボイス対応)、納品書発行などのサービスは月額料金に含まれています。また、子アカウント機能を利用すれば、複数のスタッフでの処理が可能です。
まとめ

本記事では、「消し込み」の基本的な知識から具体的な作業手順、そして多くの企業が抱える課題について解説しました。
消し込みは、企業が正確な財務状況を把握するための重要な業務ですが、多くの企業が手作業による非効率性やヒューマンエラー、ノウハウの属人化といった課題がみられます。
これらの課題を解決し、消し込み作業の効率化を図るには、「ペイド督促代行」の導入が効果的です。これにより、正確な財務管理が可能になるだけでなく、担当者の負担を軽減し、より戦略的な業務に集中できるようになります。
【Q&A】
- 消し込み作業とは?
消し込み作業とは、企業の会計において未収金や未払金と、それに対応する入金や支払いを照合し、帳簿上で記録を消去する作業のことです。
- 消し込み作業の課題は?
消し込み作業の課題は次の通りです。
- 手作業による非効率性
- 請求額と入金額の不一致
- ノウハウの属人化
課題を解消するには、業務改善システムの導入がおすすめです。