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電子帳簿保存法をわかりやすく解説!個人事業主・中小企業の進め方
電子帳簿保存法に関して、「検索要件や保存ルールが複雑でよくわからない」「日々の経理業務に追われ、システム導入を検討する時間もない」と悩んでいる経理・総務担当者の方は少なくありません。
対応が進まない大きな原因は、日々の手作業による業務負担にあります。
本記事では、電子帳簿保存法の基礎知識から具体的な対応方法、さらには日々の業務改善のポイントまでわかりやすく解説します。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法(電帳法)は、税金にかかわる帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。
これまでは、決算書や請求書などは原則として紙での保存が義務付けられていました。しかし、2005年頃から進展したIT化やペーパーレス化の推進、ならびに経理業務の効率化を目指す動きを受け、時代に合わせて段階的に要件緩和やルール整備が進められてきました。
その後、2022年1月の法改正による電子取引データの電子保存義務化と2年間の猶予期間を経て、2024年1月からはすべての事業者に対して対応が義務付けられています。
電子帳簿保存法の3つの保存区分
電帳法は、書類の作成方法や受け取り方に応じて3つの保存区分に分かれています。
| 保存区分 | 概要 | 主な対象書類 | 対応の要否 |
|---|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 自社で作成したデータの保存 | ・会計帳簿 ・決算関係書類 ・自社発行の請求書控え |
任意 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った書類のデータ化保存 | ・紙の領収書・レシート ・請求書 ・納品書 ・契約書 |
任意 |
| 電子取引データ保存 | データでやり取りした書類の保存 | ・PDFの請求書 ・ネット通販の領収書 ・Web利用明細 |
必須 |
まずは対応が必須である「電子取引データ保存」の体制から優先して整備しましょう。
①電子帳簿等保存
会計ソフトなどを使い、自社で作成した帳簿や書類をデータのまま保存する区分です。
対象となる主な書類は以下の通りです。
- 会計帳簿: 仕訳帳、総勘定元帳、売上帳など
- 決算関係書類: 貸借対照表、損益計算書など
- 自社発行の書類控え: 自社で作成した請求書や領収書の控え
この区分への対応は任意のため、データと紙のどちらで保存しても問題ありません。
ただし、データのまま保存し、一定の要件を満たして「優良な電子帳簿」として運用する場合は、税制上の優遇措置を受けられます。
②スキャナ保存
取引先から紙で受け取った領収書や請求書を、スキャナで読み取り画像データとして保存する区分です。
対象となる主な書類は以下の通りです。
- 受領したレシート・領収書: 店頭で受け取ったもの
- 郵送の請求書・納品書: 紙で届いたもの
- 紙の契約書: 署名・押印して紙で交わしたもの
なお、専用のスキャナだけでなく、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した画像での保存も認められています。
ただしスキャナで保存する際は、入力期限の遵守や一定の画質の確保、検索機能の確保など、改ざんを防ぐための運用ルールの構築が不可欠です。
③電子取引データ保存
メールやWebサイトなどを介してデータでやり取りした取引情報を、そのままデータの形で保存する区分です。事業規模にかかわらず、すべての企業が対応しなければなりません。
対象となる主な書類は以下の通りです。
- メールで届いた書類: PDFなどで受領した請求書や納品書など
- ネットショップの領収書: 購買履歴画面からダウンロードした各種明細
- Web利用明細: クラウドサービスやクレジットカード等の利用明細
データで受け取った取引情報を紙に印刷して保存することは認められていません。
また、電子取引データを適切に保存するには、改ざん防止対策や必要な検索環境の整備が求められます。
電子帳簿保存法の改正で何が変わった?
電子帳簿保存法の改正によって、「実務で何が変わったのか」「どう対応すべきか」悩んでいる経理担当者の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、知っておくべき主な変更点についてわかりやすく解説します。
電子取引データの紙保存が原則禁止
電子帳簿保存法の改正による大きな変更点は、電子取引データの保存方法です。
これまではメールで受け取ったPDF請求書を印刷して保存することも可能でしたが、法改正後は個人事業主や法人を問わず「データのまま保存すること」が義務付けられました。
税務調査では取引先のデータ等とも照合されます。そのため、求められたデータを速やかに提出できるよう、ファイルの整理や検索環境の整備が不可欠です。
事前承認制度の廃止と要件緩和
事業者が電子帳簿保存をスムーズに導入できるよう、事前承認制度を含む要件が大幅に緩和されました。
具体的には、次の要件緩和が行われています。
| 変更事項 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 事前承認制度の廃止 | 開始前の税務署への申請が不要になり、いつでも導入できるようになった。 |
| タイムスタンプ要件の緩和 | 付与期限が延長され、履歴が残るシステムの利用で代替可能になった。 |
| 小規模事業者向けの特例 | 売上等の条件を満たせば、検索機能の整備要件が不要になった。 |
これにより、従来の課題であった導入コストや準備の手間が大幅に軽減され、企業規模を問わずペーパーレス化へ着手しやすくなりました。
不正に対する罰則(加算税)の強化
事前承認制度の廃止や要件緩和が行われた一方で、データの改ざんや売上隠しなどの不正行為に対するペナルティは厳罰化されました。
悪質な改ざんや隠蔽(いんぺい)が発覚した場合、重加算税の税率が通常より10%上乗せされます。
罰則のリスクを避けるためにも、不正を防ぐ社内フローの構築が不可欠です。
電子帳簿保存法とインボイス制度の違いは?
電子帳簿保存法とインボイス制度は施行時期が重なったため、対応の違いに迷うケースも少なくありません。どちらも経理のデジタル化にかかわる重要な制度ですが、役割は大きく異なります。
| 電子帳簿保存法 | インボイス制度 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | デジタル化推進と保存ルールの明確化 | 正確な消費税額計算と適格請求書の保存 |
| 対象データ | 帳簿、決算書、すべての取引書類(紙・電子) | 記載要件を満たした適格請求書(インボイス) |
| 保存方法 | データのまま保存(電子取引の紙保存不可) | 紙または電子データでの保存が可能 |
電子帳簿保存法は「保存方法」、インボイス制度は「記載内容と消費税計算」のルールです。社内のデジタル化においては、両制度への同時対応が求められます。
【個人事業主・中小企業向け】電子帳簿保存法の進め方
電子帳簿保存法の対応で何から始めるべきか迷う方も多いですが、ポイントを押さえれば限られたリソースでも導入可能です。
ここでは、個人事業主や中小企業が電帳法対応をスムーズに進めるための具体的な4つのステップをわかりやすく解説します。
STEP 1:電子取引データを洗い出す
まずは電子データとして取引している書類を整理します。
- メール添付の請求書等データ(請求書・領収書・見積書・納品書PDF)
- Webから取得する利用明細(カード明細・EC購入履歴・通信費・ETC証明書など)
- SaaS・クラウドサービスの請求書
取引先へメールで送信した請求書・見積書のPDFなど、自社が送付したデータも対象に含まれます。
STEP 2:自社に合ったシステム・運用方法を選ぶ
電子取引データを適切に管理するには、国税庁の無料テンプレートを活用して手動で管理する方法と、クラウド会計などのシステムを導入する方法があります。
※補足:無料の事務処理規程や索引簿(Excel)は、国税庁「電子帳簿保存法一問一答:参考資料・各種様式」からダウンロードできます。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 無料テンプレート | コストをかけず導入できる | ファイル名の変更や手動検索の手間が増える |
| 有料システム | 自動入力や検索の効率化で業務時間を削減できる | 月額費用などの導入・運用コストが発生する |
無料テンプレートは導入コストを抑えられる一方、手入力の負担が大きく、業務を圧迫する要因にもなりかねません。
バックオフィス全体の効率化を図るためにも、電子帳簿保存法への対応を機に有料システムの導入を推奨します。
STEP 3:社内ルールを作成・共有する
有料システムの場合は、操作手順がそのままルールになるため、規定文言やマニュアル化が非常に容易です。また、操作性も高く、社員への周知や教育も最小限に済みます。
無料のテンプレートの場合は、データの信頼性を証明するために事務処理規程の作成・運用が必要です。コストをかけずに作成できる一方で、規程の策定や社内への周知徹底に手間がかかります。
STEP 4:データの保存・運用を開始する
データを正確に管理するには、定期的なチェックが重要です。特に月次で保存漏れを確認することで、保存の不備や運用の形骸化を防ぎます。
特に無料テンプレートを活用する場合は、通帳やカード明細と保存データを一つひとつ照合しなければなりません。
実際に運用を開始した結果、手作業の負担が大きいと感じる場合は、改めて有料システムの導入を検討してみましょう。
個人事業主・中小企業が押さえておくべき電帳法対応の注意点
電子帳簿保存法に対応する際は、運用面や法律面におけるリスクを事前に把握しておくことが重要です。想定されるリスクと具体的な対策を解説します。
データ消失を防ぐバックアップ体制を整える必要がある
自社のパソコンや社内サーバーだけに保存していると、機器の故障や誤操作によってデータが消失するリスクがあります。
電子帳簿保存法では、電子取引データを7〜10年間保存することを定めています。データを安全に守るには、クラウドストレージの活用や定期的な自動バックアップが必要です。
違反すると青色申告の承認を取り消される可能性がある
データの隠蔽や改ざん、未保存などの悪質な違反は、青色申告の承認取り消しにつながりかねません。これにより最大65万円の特別控除などの税制優遇を失うおそれがあります。
金銭的な損失はもちろん、ずさんな管理体制による社会的信用の失墜を防ぐためにも、適切な管理体制の構築が求められます。
手作業によるデータ管理は人的リソースをひっ迫させる
無料のテンプレートを導入する場合、ファイル名の書き換えや手動での仕分け作業が必要です。そのため取引件数が増えるほど、作業時間の増加や入力ミスにつながりやすくなります。
有料システムによる効率化は、空いたリソースをコア業務に充てるための重要な投資です。単純作業を減らすことで、請求管理の精度向上や資金繰り分析といった付加価値の高い業務に専念できます。
まとめ
電子帳簿保存法への対応は、規模を問わずすべての事業者が取り組まなければなりません。制度の概要を正しく理解し、適切に管理・運用することが求められています。
データを適切に管理するには、電帳法の保存要件に対応した「ペイド」の導入がおすすめです。制度対応にとどまらず、請求書発行から回収・管理までバックオフィス全体のシステム化を同時に実現できます。
電子帳簿保存法への対応にお困りの方は、「ペイド」の導入をご検討ください。
【Q&A】
- 無料のGoogleドライブやDropboxに保存してもよい?
要件を満たせば可能ですが、手作業の負担とリスクに注意が必要です。
ファイル名への「日付・取引先・金額」の入力や、改ざん防止規約の準備が求められます。入力漏れや誤消去のリスクもあるため、件数が多い場合は専用システムが安心です。
- 個人事業主で取引件数が少ない場合でもシステムを導入するべき?
今後の手間やミスを防ぐなら導入がおすすめです。
取引が増えてからシステムに移行すると、過去データの整理や運用の変更に余計な手間がかかります。将来の手間や保存漏れリスクを防ぐためにも、最初からシステム化しておくのがスムーズです。


