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銀行融資を受けるには?審査の流れや通過のポイントを徹底解説
銀行融資の審査基準や必要書類が不明確なために、多くの経営者や個人事業主は資金調達に必要な準備に貴重な時間や労力を奪われています。
本記事では、中小企業経営者や個人事業主が知っておくべき「銀行融資の流れ」を徹底解説します。
銀行融資の流れや審査のポイントを把握し、効率的な資金調達を目指しましょう。
銀行融資の流れ5ステップ
銀行融資のプロセスは複雑に感じられるかもしれませんが、5つのステップで整理できます。
ここでは、事前相談から融資の実行に至るまでの全体像を分かりやすく説明します。
銀行融資の流れを理解し、各ステップで必要な準備と対策を把握することが、融資審査を通過するための重要な一歩です。
ステップ1:事前相談と資料準備
まずは資金使途(何のために・いくら必要か)を整理してから、銀行の窓口や担当者に相談しましょう。
資金使途が曖昧だと、計画性がないと見なされ、審査で不利になる可能性があります。
事前相談の際は、次の資料が必要です。
- 直近の試算表(月次)
- 事業用・代表者の預金通帳のコピー
- 納税証明書
これらの資料は、信用力と返済能力を裏付けるために不可欠な情報です。
ステップ2:申込みと必要書類の提出
事前相談を経て融資の見込みが立ったら、銀行から正式な融資申込みに移ります。
銀行から正式な融資申込書を受け取り、必要事項を記入のうえ、次の書類一式と合わせて提出します。
| 書類名 | 銀行のチェックポイント |
| 事業計画書 | 融資資金による収益増加の見込みや、返済の確実性 |
| 決算書(直近3期分) | 過去の業績の安定性と財務体質 |
| 資金繰り表 | 資金ショートリスクの有無 |
| 試算表(直近) | 最新の経営状況と現在の信用力 |
| 納税証明書 | 税金・社保の納付状況 |
| 銀行取引一覧表 | 全体の借入状況と既存取引 |
| 資金使途明細 | 使途の妥当性と収益への連動 |
| 登記簿謄本 | 企業の基本情報 |
| 不動産登記簿謄本 | 担保の所有権と評価額 |
| 印鑑証明書 | 代表者印の正当性 |
| 本人確認書類 | 代表者個人の実在確認 |
必要書類は銀行や融資の種類によって異なりますので、事前に必ずご確認ください。
ステップ3:銀行による審査
銀行融資の審査には、主に「書面審査(定量評価)」と「企業面談(定性評価)」の2つがあります。
- 書面審査:財務資料に基づき、経営状況を数値で評価する
- 企業面談:経営者個人の資質や事業の将来性といった定性的な要素を評価する
担保物件については評価額を、保証人が必要な場合はその資力(返済能力)を銀行が調査します。
ステップ4:融資条件の決定と契約
銀行の審査に通過すると、融資額や詳細な条件が正式に提示されます。
条件を精査し、必要に応じて交渉することが大切です。
調整・交渉すべきポイントは次の通りです。
| 交渉項目 | 詳細(調整・交渉の論点) |
| 金利 | 企業の信用度や担保次第で、引き下げ交渉が可能 |
| 返済期間 | キャッシュフローを考慮した返済期間の交渉 |
| 担保 | 担保の必要性と物件の範囲 |
| 保証 | 連帯保証の有無や保証協会の利用条件 |
| 融資形態 | 証書貸付か当座貸越か、といった資金利用方法 |
最終的な条件に合意したうえで、銀行と正式に金銭消費貸借契約を締結します。
ステップ5:融資の実行
契約締結と法的手続き完了後に、融資の実行日が確定します。
融資の実行にかかる期間の目安は次の通りです。
| 融資の種類 | 実行までの期間目安 |
| プロパー融資 | 2週間〜1ヶ月 |
| 信用保証付き融資 | 2週間〜1ヶ月半 |
資金の実行をもって、返済義務が発生します。
次の融資につなげるためにも、返済や報告の義務を確実に履行しましょう。
銀行融資の審査で失敗しない8つのポイント
銀行が審査で重視するのは、財務の健全性と経営者の信頼性の2つです。
ここでは、審査を通過するために必ず押さえておくべき8つのポイントを徹底解説します。
財務状況の健全性を維持する
「財務状況の健全性」とは、企業が安定して利益を稼ぎ、将来にわたり借金を無理なく返済し続けられる体力があるかを測る指標です。
銀行は決算書を、企業の返済能力を評価するために、次の3つの観点から分析します。
- 収益性:安定した利益と返済原資の確保
- 安全性:倒産リスクの低さと財務基盤の強さ
- キャッシュフロー:利益に連動した手元現金の増減
個人事業主の場合は、事業と個人が一体と見なされ、経営者個人の資産・負債・信用情報が審査の土台となります。
そのため、事業の業績に加えて、個人の信用管理も重要です。
事業計画書で返済能力を証明する
事業計画書は、未来の返済能力を論理的かつ具体的な数値の根拠で証明するための重要な書類です。
銀行は融資によって事業で利益が生まれ、その利益から確実に返済が行われることを確認するために、この計画書を徹底的に精査します。
計画書に盛り込むべき3つの要素は次の通りです。
- 借入資金によってどのように利益を増やすか明確にする
- 客観的な根拠に基づく売上・利益の予想数値を算出する
- 計画を誰が、いつ、確実に実行するかを示す
審査を通過するためには、具体的で説得力のある事業計画書を作成してください。
資金使途の収益性を明確にする
資金使途の収益性とは、融資された資金が企業の売上や利益を増やすための投資として機能しているかを指します。
どのような資金使途が収益性ありと評価されるのか確認しましょう。
| 収益性がないと見なされる主な例 | 収益性があると評価される主な例 |
|
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「借りた資金がいつ利益を生み、確実に返済されるか」という道筋を、具体的な数値で示すことが重要です。
事業資金と個人資金の分離を徹底する
公私混同がないか、資金管理のルールが守られているかを確認するため、事業用口座と代表者個人の預金通帳の履歴を細かくチェックします。
銀行が通帳でチェックするポイントは次の通りです。
- 個人的な支払いが事業用口座から行われていないか
- 多額かつ不透明な役員貸付金がないか
- 個人口座との間で、頻繁な資金移動がないか
特に個人事業主は、生活費と事業資金の出入りが同じ口座で行われていることが多いため、個人の預金通帳を通じて公私混同がないか厳しくチェックされます。
このため、個人的な支出は必ず個人口座から行うようにしましょう。
自己資金の割合を増やす
審査では、経営者自身がどれだけリスクを負う覚悟があるかを重視します。
自己資金の割合を増やすことは、返済への本気度や、銀行のリスクを軽減する点で安心感を与える効果があります。
融資の審査を有利に進めるには、融資希望額に対して少なくとも20%〜30%の自己資金を確保しておくことが望まれるでしょう。
ただし、融資の直前に一時的に親族などから資金を借り入れ、自己資金に見せかける行為(見せ金)は厳禁です。
銀行と信頼関係を構築する
融資審査を円滑に進めるためには、銀行と企業が相互に信頼関係を築くことが重要です。
銀行との強固な信頼関係を築くことで、企業は単なる融資先ではなく、長く付き合える信用度の高いパートナーとして評価されます。
信頼関係を構築するうえで、欠かせない5つの要素は次の通りです。
- 透明性の高い情報開示
- 迅速な対応
- 自発的な情報提供
- 返済の確実な履行
- 資金使途の厳守
これらの地道な行動の積み重ねが、将来的な追加融資や有利な条件を得るための基盤となります。
企業面談で「熱意と資質」を伝える
融資面談では、提出された書類だけでなく、経営者自身の人となりが評価されます。
特に、事業を成功させるための熱意と資質は重要な評価ポイントです。
- 熱意:事業に対する強い信念と明確なビジョン、それを実現する論理的な計画
- 資質:問題解決力、計画実行力、誠実さといった実務能力と倫理観
計画の裏付けや根拠を自分の言葉で説明できることは、計画を実行に移す能力があることの証明となります。
税金・社会保険料の完納を証明する
企業の財務状況がどれだけ優れていても、税金や社会保険料の滞納があれば、融資はほぼ不可能になります。
これは、国や自治体に対する公的な義務を果たしていないと見なされ、会社として基本的なルールを守っていないと判断されるためです。
融資申込み前に、すべての税金・社会保険料に滞納がないか確認し、滞納があれば速やかに完納しましょう。
銀行融資の審査に落ちたときの対処法
万が一融資審査に通らなくても、前回の申請から6ヶ月以上の改善期間を空ければ、再申請ができます。
融資を通過させるには、不通過の原因を冷静に分析し、戦略的な対策を講じることが重要です。
ここでは、次のチャレンジで融資を獲得するための具体的な対処法を解説します。
事業計画を見直す
不通過の主な原因は、「返済力が不足している」または「事業計画が楽観的すぎる」といった点が挙げられます。
達成が極めて困難な目標は避け、堅実で実現可能性の高い目標に再設定しましょう。
また、前回の面談で答えられなかった点や、銀行員が難色を示した点を特定し、その部分を事業計画書で重点的に修正することが重要です。
自己資金を増やす
次の審査までに自己資金を増やす際は、その信憑性(計画的に貯めたかどうか)が問われます。
銀行からの評価を高めるには、次の方法が有効です。
- 定期的な貯蓄の記録を開示する
- 事業外の収入を活用する
- 親族からの資金援助を贈与として処理する
これらの計画的な行動を通じて、返済能力だけでなく、適切な経営姿勢を銀行に示しましょう。
信用情報を改善する
過去に延滞や債務整理などの金融トラブルがあった場合、信用情報に傷がついてしまいます。
信用情報上のネガティブな記録が消えるまでには時間がかかるため、再申請までの期間を利用して改善に取り組みましょう。
現在抱えているすべての支払いを確実に履行し、新たな延滞を一切発生させないことが重要です。
売掛金の回収状況を見直す
銀行は事業の帳簿上の利益だけでなく、その利益が確実に現金として回収されているかを重視しています。
そのため、売掛金の回収が遅延したり、回収不能になったりすることは、たとえ帳簿上黒字であっても資金繰りの悪化を意味し、審査で不利になります。
未回収リスクを低減するためには、請求管理のシステム化や督促代行の活用といった対策が有効です。
また、未回収リスクを回避し、資金繰りを安定させることで、銀行融資に依存しない資金調達が可能になります。
まとめ
銀行融資の審査を通過するには、確実な返済能力を裏付ける論理的な計画と、銀行との強い信頼関係を築くことが重要です。
特に返済能力を証明するには、現実的な事業計画に加えて、売掛金の遅延や未回収がない安定した資金回収体制が欠かせません。
資金回収体制の強化には、「ペイド督促代行」の活用が有効です。煩雑な毎月の請求書発行・入金チェック・未入金者への督促業務をシステム化することが可能です。
低コストで運用できるため、中小企業や個人事業主にも導入しやすく、資金繰りの改善を力強くサポートします。
おすすめサイトのご紹介:コンサル案件.com
【Q&A】
- 銀行融資の流れは?
銀行融資の流れは次の通りです。
- 事前相談と資料準備
- 申込みと必要書類の提出
- 銀行による審査
- 融資条件の決定と契約
- 融資の実行
審査を通過するには、事前準備を徹底することが重要です。
事前相談と資料準備
申込みと必要書類の提出
銀行による審査
融資条件の決定と契約
融資の実行
- 審査を通過するポイントは?
審査を通過するポイントは次の通りです。
- 財務状況の健全性を維持する
- 事業計画書で返済能力を証明する
- 資金使途の収益性を明確にする
- 事業資金と個人資金の分離を徹底する
- 自己資金の割合を増やす
- 銀行と信頼関係を構築する
- 企業面談で「熱意と資質」を伝える
- 税金・社会保険料の完納を証明する
特に返済能力を証明するには、安定した資金回収体制を整えることも大切です。


