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経営リスクを対策する「与信管理」の方法とは?流れや注意点、ツール活用について

与信管理

会社経営において与信管理は非常に重要な項目ですが、明確に理解できていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、与信管理の流れや注意点、ツールの活用について解説します。

与信管理の重要性。怠るとどのようなリスクがある?

与信管理

与信管理は、取引先との信用度合いに応じて、いくらまでの金額であれば取引可能なのかを判断・管理することです。ここでいう信用度合いとは、取引先の経営成績や財政状態などの定量的情報、社内状況や社会的評価などの定性的情報のことで、これらを総合的に見て判断します。

なお、与信管理を怠ると以下のようなリスクがあるので注意しなくてはいけません。

売掛金を回収できない

与信管理を怠った場合、売掛金をスムーズに回収できなくなる可能性があります。結果的に自社の経営状況の悪化を招く恐れがあるので、注意が必要です。

未回収の売掛金の損失をカバーするために必要な売上高は、「未回収額÷経常利益率」で計算できます。例えば、400万円の売掛金が回収できない場合、経常利益率を2%と仮定すると、400万円を回収するために以下の売上が必要です。

400万円÷2%=2億円

売掛金が回収できなければ、最終的には貸し倒れにつながるため注意しましょう。

キャッシュフローが悪化する

売掛金の未回収は、貸し倒れに留まらず、キャッシュフローの悪化にもつながりかねません。キャッシュフローとは、一定期間に出入りしたお金の流れを意味します。キャッシュフローが悪化すると、他の取引先や金融機関への支払いが難しくなったり、追加の事業投資ができなくなったりするなどのデメリットが生じます。売掛金が回収できないということは、本来入金されるはずだったお金が入ってこないことを意味するため、上記で挙げたデメリットが生じやすいです。

企業としての信頼を失う

売掛金の未回収により、他の取引先への支払いが遅れると、疑念を持たれ信用調査が行われる可能性があります。他社が信用調査会社に依頼すれば、簡単に自社の決算書などを閲覧することが可能です。ここで資金繰りが上手くいっていないと判断されると、お金の管理が甘い会社だと判断され、今後の取引縮小をはじめとした信用問題に関わります。私個人の感覚ではありますが、お金の管理がしっかりできていない企業と関わりたいとは思えません。こうした事態にならないためにも、日頃の与信管理が必要です。

連鎖倒産

連鎖倒産とは、倒産企業の影響で子会社や取引先などの関連企業が同時に倒産してしまうことです。与信管理を怠ると、先述したキャッシュフローの悪化や信頼喪失により、自社も連鎖倒産してしまうリスクがあるので注意しなくてはいけません。

与信管理の方法は大きく2プロセスに分けられる

与信管理

与信管理の方法は、与信承認プロセスと与信事後管理プロセスの2つに分けられます。ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。

➀与信承認プロセス

与信承認プロセスとは、取引先企業のあらゆる情報を収集・分析したうえで企業の信用力を判断し、取引の可否を決定していくことです。主な流れを以下の項目で紹介します。

1:商談開始

新しい取引先候補に関して、商談を進めていいのか営業部門が最初に調査します。原則として直接訪問によって調査することが一般的です。このとき、並行して管理部門にも調査を依頼します。

2:情報収集・分析

あらゆる角度から情報を収集します。直接手に入る情報はもちろん、信用調査会社などの第三者機関からも情報を収集して分析します。

主な分析手法は以下の3つの観点です。

種類

内容

定量分析

貸借対照表や損益計算書などの決算書に基づく分析

定性分析

経営者の能力や得意分野、販売ルート、参入障壁などを分析

商流分析

商売の形態や決済条件、エンドユーザーとの取引の流れなどを分析

調査方法について詳しくは以下の記事をご覧ください。

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3:与信審査・与信限度の決定

上記の調査をもとに、取り引き可否の決定や与信限度額の設定などを行います。与信限度とは、取引先ごとの売掛金の上限額で、掛取引を行う金額の上限を決めることです。与信限度は営業部門・管理部門の審査結果に基づき、決裁権者が行います。主に部長や取締役などが行うことが多いです。

4:契約条件の交渉

与信限度などの内容に従って契約条件を交渉します。話がまとまれば契約締結という流れになり、実際に取り引きを開始します。

②与信事後管理プロセス

与信事後管理プロセスとは、与信限度を定期的に見直し、債権の回収状況を管理することを指します。信用力の変化によって、与信限度を上げ下げしながら調整を行います。

1:債権・与信限度の管理

期日通りに売掛金が回収できていることを管理します。支払いの遅れがある場合、与信限度を下げるなどの対応をします。なお、与信限度を超えた取り引きをしている場合は、ここで是正することが重要です。

2:情報収集・見直し

取引先についてあらゆる情報を収集します。与信承認プロセスで述べたとおり、信用調査会社に依頼することも多いです。取引履歴や取引先の状況を確認し、今後の取り引きの見直しを行いましょう。信用力は日々変化しますので定期的に見直しを行い、調節していく必要があります。

3:問題案件の管理・回収

問題案件とは支払いの遅延が発生しているケースや、取引先のネガティブ情報を察知したケースなどが該当します。このような場合はすぐに情報収集や担保取得などの対策を講じます。貸し倒れになりそうな場合は、積極的に回収活動を行い、被害を最小限に留めることが重要です。

与信管理を行う際の2つの注意点

与信管理

与信管理を行うときには2つの注意点があります。留意すべき点を意識し、スムーズに行いましょう。

社内の情報共有が必要不可欠

社内での情報共有は何よりも重要です。特に与信管理部門と営業部門は密に連絡を取り合う必要があります。一般的に営業部門は営業に専念し、与信管理部門はバックオフィスに専念すればいいと思われがちですが、これでは十分な情報共有がなされません。現場の情報を十分に得るためにも、しっかりと共有していきましょう。

信用調査会社に依頼する場合はコストがかかる

信用調査会社に依頼する場合、当然ですがコストがかかります。取引金額と信用調査会社に対する報酬について、バランスが取れていることを確認しましょう。なお、与信調査は一回で終わりではありません。信用度は日々変化するため、継続した調査が必要です。

与信管理ツール・サービスを活用するという選択肢も!

信用調査会社へのコストが負担になる場合、与信管理ツール・サービスの導入を検討しましょう。与信管理ツール・サービスとは、取引先の与信限度額や売上債権の残高などを一元管理できるシステムのことです。

その他にも、請求書発行や督促機能などもシステムに搭載されていることが多いです。会社と取引先との間に立ち、与信管理に関するさまざまな業務を支援してくれます。

まとめ

与信管理は取引先の信用度合いに応じて、売掛金の限度額を調整することです。与信管理を怠ると、自社のイメージの悪化や経営リスクにつながります。与信管理の方法は信用調査会社に依頼する方法もありますが、費用がかかってしまいます。そこでおすすめなのが与信管理ツール・サービスです。

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